京都橘大学 倉田宜典研究室との共同研究をプロジェクト化 ― 個性化AIと地域言語保存
EDENA株式会社は、京都橘大学 工学部ロボティクス学科・倉田宜典研究室との共同研究をプロジェクト化し、進行中です。2026年4月に取り組みを開始し、リサーチ・開発検討を重ねてきました。
対話の質や深度を決めるのは、話す内容だけではありません。誰が、何を、どんな目的で、どんな距離で、誰に向かって話すのか——同じ言葉でも、その組み合わせが変われば、届き方はまったく違うものになります。そしてもうひとつ。対話は、発話と同じぐらい、それを聴く耳が重要です。声の抑揚、間、言葉にならない気配を聞き取る力——それがあって初めて、対話は関係になります。
私たちは自社の個性化AIエンジン「RaShiSaAI」を軸に、この研究を進めています。LLMもボイスクローンも、適材適所で選び、組み合わせて使う。特定の一社に縛られないことで、時代のニーズに合ったものをスピーディーに実装していく。そのうえで、どの基盤の上でも成り立つ「その人らしさ」の設計を、実装と研究の両側から確かめていく。それがこの共同研究の土台です。
【地域言語保存へ】
この「その人らしさ」の研究テーマは、京ことばの保存という新しい軸を生みました。
京ことばとひと言で言っても、実は多種多様です。かつて御所や公家社会で使われた格式高く優美な「御所言葉」、洛中の町衆に親しまれた「町方言葉」、祇園や先斗町で舞妓さんや芸妓さんが使う「花街言葉」、宇治や伏見をはじめとする「洛外の方言」など、大きく4系統あり、男女で使う言葉も違います。こうした地域特有の方言・言葉は、現代社会において絶滅が危惧されている文化ともいえます。

鳥文斎栄之「風流略六哥仙 其の二 小野小町」1790年代 メトロポリタン美術館蔵
言葉は、意味だけでできているのではありません。抑揚、間、その土地の呼吸——文字に起こせば意味は残りますが、話し方は残りません。だからこそ、京ことばを話させるには、誰がどんな場面でどう話すのかまで含めた個性化が要る。個性化AIの研究と京ことばの保存は、同じひとつの課題です。
私たちは、京ことばを話者の声そのままに音声AIとして記録し、対話できる形で残す研究を進めています。聞いて終わりの音源ではなく、問いかければ京ことばで返ってくる。使われ続けることが、言葉が生き残るということです。
【目指すこと】
千年の都で育まれた京都の言葉を、次の世代に手渡す。おもてなしの言葉として活用していく。声を文化資産として扱う、EDENAの「声遺産」の取り組みのひとつです。
